秋田市寺内の国指定史跡・秋田城跡では硯（すずり）や刀子（とうす）＝ナイフ＝、砥石（といし）が多数出土した。刀子は砥石で研ぎ、紙代わりの木簡を削るのに使われた。いずれも古代律令国家の官僚を象徴する道具。文書作成は重要な職務であり、出来上がった文書も大事に保存された
▼出土した漆紙文書の研究から、当時の戸籍は保存期間が２４年だったことなどが確認されている。こちらは既に廃棄したというから驚いた。安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の招待客名簿である。今年春に作成したばかりなのに処分が早すぎないか
▼安倍政権下では招待客が毎年、増加を続けてきた。目安の１万人に対して今年は１万８千人が出席し、公費の支出は大きく膨らんだ。招待客の中には、多くの首相後援会関係者が含まれていたと指摘され、問題化している
▼事実なら、長期政権の緩みやおごりの表れと言われても仕方ない。招待客の選定が適正だったと言うのであれば、それを証明するためにも名簿の保存は必要だったはずだ
▼これまでも、森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんや陸上自衛隊の日報隠蔽（いんぺい）など、公文書を巡る問題が繰り返されてきた。菅義偉官房長官らが名簿はもうないと説明しても、納得できない
▼政府は来年の会の中止を決めたが、首相の説明責任は残っている。初入閣の２閣僚の辞任、大学入学共通テストを巡る文科相の「身の丈」発言と問題が相次ぐ中、今度は首相自身に関わる疑惑。どうやって信頼回復を図るのか。
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November 15, 2019 at 07:40AM
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北斗星（１１月１５日付） - 秋田魁新報
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