新米が出回るこの時期、首都圏で県出身者のふるさと会が盛んに開かれる。年に一度の同郷同士の集まり。多くの会で出席者に配られる定番の土産は、もちろんあきたこまちの新米だ
▼５００グラム前後が一般的だが、東京協和会で配る米は何と２キロだ。「重過ぎて大変。もう年寄りなんだから」と愚痴をこぼす会員も。ただ、そんな人に限って笑顔である。帰宅後に「今年ももらった」と家族に自慢する姿が目に浮かぶ
▼潟上市ふるさと昭和会は今年、高層ビルの地上５８階にある洋風レストランを会場に選んだ。地元の食材できりたんぽ鍋を調理してくれる所はなかなかなく、ようやく見つけた店だ。幅広で縁の付いたこじゃれた器は鍋物に似合わないが、それも一興。みんなで懐かしい味を共有するのが何よりうれしい
▼そんな場に顔を出すたび、秋田を離れた人たちの郷土愛やつながりの深さを感じる。都会で何十年暮らしても、心は今も古里にあるのだろう。毎日通った学校や思い出深い郷土芸能が消えていくのを寂しがる人は多い
▼藤里町出身の若者の交流会でこんな声が上がった。「住んでいる場所は県外だけど、俺たちはまだ町民のつもり。『都会の町民』です」。出席者は今後、帰省時に知人を巻き込む「道連れ帰省」を広める策を練るそうだ
▼年間約４千人の転出超過が続く本県。県外に出た県民の力をどう生かすか。関係人口の土台を築く上でも、「都会の県民」とのつながりを強める視点は欠かせない。
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November 22, 2019 at 07:40AM
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北斗星（１１月２２日付） - 秋田魁新報
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