初代秋田藩主・佐竹義宣に飛脚として仕えたとされる伝説のキツネ「与次郎」が秋田市中通のエリアなかいちのマスコットキャラクターに決まったのは２０１１年だった。当時、伝説を知る市民は少なかった
▼与次郎が非業の死を遂げたと伝えられる山形県東根市ではミュージカルが作られ、親しまれていたのとは大違い。だが翌年のなかいちオープンを記念し千秋公園周辺を会場に与次郎駅伝が始まった。かわいい着ぐるみが登場、なかいちには石像が設置され人気者になった。与次郎の知名度は大幅にアップした
▼そしてついにと言うべきか、劇団わらび座の新作ミュージカル「Ｒｕｎ！与次郎！―秋田国造り外伝」の公演がきのう、なかいちのにぎわい交流館で開幕した。与次郎をキツネではなく、生身の人間として描く。秋田藩を平和な国にするために身をささげる決意をした若者である
▼脚本・演出を担当した栗城宏さん（５８）は２０年ほど前、秋田市内の幼稚園の保護者に頼まれ、与次郎の紙芝居のために音楽を作ったことがある。その頃はミュージカルになるとは思ってもみなかった
▼舞台化に当たっては、思い切って本来の悲しい伝説から離れてストーリーを構成。「見た人があしたを生きる力を得られる舞台を目指した」という
▼語り継ぐ人が少なくなっていた伝説が新たな姿でよみがえったことは、そのまま中心市街地活性化のシンボルになっていると思えた。これからも長く伝承されていくことを願う。
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December 15, 2019 at 07:38AM
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北斗星（１２月１５日付） - 秋田魁新報
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