人と人を結ぶ絆にはさまざまな形がある。作家の五木寛之さんによれば、仲間との団結を深める明日への「夢」と同じくらいに「思い出」が重要な役割を果たしているそうだ
▼過去の日々をともに生きてきたことを思い出すのは、決して後ろ向きな行為ではない。頭の中にある思い出の引き出しがさび付かないように繰り返し開けて、語り合うことが、人間が生きていく上で大事だ―と指摘する（「人間の関係」ポプラ社）
▼東日本大震災の津波によって大きな被害を受けた相馬市の原釜・尾浜地区で、かつての街並みをジオラマにする取り組みが進められている。３月までの完成を目指し、市内の伝承鎮魂祈念館に展示する予定だ
▼住宅の屋根の色までできるだけ詳細に再現していこうと、デザインの企画や立案には地元の住民らが参加している。打ち合わせの会合では、参加者が震災前の地区について語り合うなどして、心和むひとときを過ごしたという
▼復興の歩みを進める中で、地区の風景は時とともに様変わりしていく。住民一人一人の心の中にある「情景」が形となって残されることで、思い出で結ばれる絆は確かなものとなり、地区の明日を描いていく大きな力になるはずだ。
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January 28, 2020 at 06:53AM
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【１月28日付編集日記】相馬のジオラマ - 福島民友
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