女の子とままごとをして遊んでいるのをからかわれ、男だったらいじめるぐらいのことをしてみろと友人にけしかけられる。その圧力に負け、靴を奪い去って女の子を泣かせてしまう
▼漫画「ドラえもん」のある作品で、小学生の主人公のび太が幼稚園の頃を振り返る場面だ。女の子は間もなく家族と共に遠くへ引っ越す。のび太はどうしてあんなことをしたのかと悔やみ、きちんと謝って靴を返さなければとタイムマシンに乗る
▼今年はドラえもんの雑誌連載開始から５０年の節目に当たる。キャラクターが個性的で親しみやすいこと、登場する未来の道具がいずれもユニークであることなど、人気の要因はさまざま挙げられるだろう
▼弱者への慈しみが根底にある点も見逃せない。冒頭の作品はそんな一例である。作者の故藤子・Ｆ・不二雄さんは物語を通して、思いやりを持ち続けてほしいとのメッセージを子どもたちに絶えず発信していた
▼多くの書店の漫画コーナーでは最近のヒット作に交じり、昭和の名作であるドラえもんの単行本が今なお多くのスペースを占める。秋田市大町の「ひらのや書店」もその一つ。店長の平野左近さん（３９）は「買い求める人の年齢層は子どもから大人まで実に幅広い」と語る
▼勉強もスポーツも苦手で、失敗ばかりしている。けれど優しい気持ちを失わない。大人のファンは単行本を開いて昔を懐かしみながら、人にとって何が大切かをしみじみとかみしめているのかもしれない。
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January 25, 2020 at 07:29AM
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北斗星（１月２５日付） - 秋田魁新報
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