都心から電車で１時間半弱かかる埼玉県狭山市を取材で訪ねた。駅から出ると、１分もしないうちに警官に呼び止められた。「お仕事ですか」。聞けば、特殊詐欺が相次いでいるため駅周辺で警戒中なのだという。どうやら被害者から金品を受け取る「受け子」と疑われたようだ
▼行き先や誰と会うかを尋ねられ、誠実に答えたつもりだが、時折出る秋田なまりがさらなる疑念を呼んだらしい。身分証の提示も求められ、潔白を証明するのに一苦労した
▼それにしてもなぜ怪しまれたのか。埼玉県警のホームページを見て合点がいった。受け子の特徴が「マスク着用」「スマートフォンを操作」「周囲を見回す」などと書かれている。あの時の自分と、ことごとく一致していたのだ。警官に呼び止められたことを煩わしく感じたが、見逃さなかった点を褒めるべきだと思い直した
▼家族や銀行員などを装い、金品を詐取する手口は全国で多発している。他にも還付金や未納金があると偽るなど、手口は実に多様だ
▼秋田県警によると、昨年の県内被害額は２億１２００万円に上り、前年の３・６倍に急増した。先月は由利本荘市で１４００万円をだまし取られる被害が発覚した
▼警察庁の調査では、おれおれ詐欺被害者の８割が「自分は被害に遭わないと思っていた」と答えている。水害や地震などの際、自分だけは大丈夫と思い込む「正常性バイアス」と似ている。家族や親類で頻繁に注意し合い警戒感を持ち続けたい。
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February 11, 2020 at 07:32AM
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北斗星（２月１１日付） - 秋田魁新報
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