Snafu Records(スナフー・レコーズ)は、音楽界の才能発掘に新しいアプローチを導入しつつある。米国ロサンゼルスに本社を置くスタートアップの創設者でCEOのAnkit Desai(アンキット・デサイ)氏は、同社を「初の完全サービスのAI対応レコードレーベル」と表現している。
過去5年間、キャピトル・レコードとユニバーサル・ミュージック・グループでデジタルおよびストリーミング戦略に携わってきたデサイ氏は、この業界に詳しい。世の中には、今でも才能あるアーティストは大勢いるが、レコードレーベルはそれを引き出す手段に乏しいと彼は指摘する。
「世界中が死ぬほど聞きたい音楽を生み出す女の子がインドネシアにいたとしても、その娘にチャンスはありません」と彼は言う。「彼女を世界と結ぶ架け橋は、今の世の中には存在していません。音楽業界は、非常に旧式のやり方に凝り固まっていて、アーティストの発掘は口コミが頼りです」。
レーベルの新人発掘を手伝うソフトウェアの開発を行うChartmetric(チャートメトリック)のような企業もある。しかし、デサイ氏は「私もそうしたサービスを使ったことがあります。しかしいつだって、21世紀のテクノロジーを20世紀の機械に持ち込むという結果に終わるのです」と話す。
その機械とは、つまりレコードレーベルそのものだ。そこで彼は、自分のレーベルを立ち上げることにした。Snafu Recordsだ。米国時間2月6日に正式に設立された。
このスタートアップは、シード投資290万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表している。主導したのはTrueSight Ventures。これに、Day One Ventures、ABBAのAgnetha Fältskog、SpotifyのJohn Bonten、William MorrisのSamanta Hegedus Stewart、Soundboksの創設者Jesper Theil Thomsen、Headstart.ioの創設者Nicholas Shekerdemianなどが参加している。
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デサイ氏によると「Sunafuのアプローチはテクノロジーを使って『基本的にあらゆる人たちが、我々に代わって音楽を聞いて才能発掘を行う』ものだ」という。
同社のアルゴリズムは、YouTube、Instagram、SoundCloudなどのサービスで、毎週、まだどことも契約していないアーティストの作品を15万曲ほど聞き、リスナーのエンゲージメント、リスナーの感想、音楽そのものを基準に評価するという。同氏は、Spotifyのトップ200リストに70〜75%の類似性があるものが狙い目だという。そのため、どこかで聞いたような曲で、そこそこ「型破り」なものとなる。
この分析結果は点数化され、それをもとにSnafuは「この膨大な音楽データから、毎週15から20の曲を抽出して、そこから人間(チーム)が関与する」という。
目標は、Snafuのアーティストとして、そのミュージシャンと契約を交わすことだ。するとアーティストは、同社の音楽業界の専門知識を活用できるようになる。これには、同レーベルのクリエイティブ責任者で、Madonn(マドンナ)、One Direction(ワン・ダイレクション)、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)らに楽曲の提供も行っているCarl Falk(カール・ファルク)氏のアドバイス、ストリーミングの収益の一部を支払ってマーケティングの支援を受けるといった内容も含まれる。Snafuは、通常のレーベルに比べてアーティストの分け前が多く、拘束期間も短いとデサイ氏は話している。
ストリーミングで(ツアーやグッズ販売と比較して)、大きなビジネスを支えるだけの収益が得られるのかを尋ねると、デサイ氏はこう答えた。「経済的な面で、ストリーミングは不当に悪く思われがちです。そこには誤解があります。ストリーミングで本当に素晴らしい数字を出すアーティストは、まだまだたくさんいます。ただジャンルが違うだけなのです」
Snafuは、本日正式に設立されたばかりだが、すでに16組のアーティストと契約している。その中にはアーカンソー州リトルロックで活動するデュオのJoan(ジョアン)やジャズミュージシャンMishcatt(ミシュキャット)がいるが、Mishcattの「Fade Away」は、リリース5週間目で500万回もストリーミングされた。
「アンキットとSnafuチームには、テクノロジーと音楽業界の深い専門知識の交差点で、新しく画期的で永続的な音楽レーベルを構築できる大きなチャンスがあります」と、TrueSight Venturesの創設パートナー、Hampus Monthan Nordenskjöld(ハンパス・モーサン・ノルデンシュルド)氏は声明の中で述べている。「音楽業界は構造的転換期にあり、21世紀の音楽レーベルはどうあるべきかを再定義するSnafuと仕事ができることを、大変うれしく思っています」。
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画像クレジット:Snafu Records
[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)
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February 07, 2020 at 10:46AM
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