美郷町六郷の小山烈子さん（７２）にとって一番の地元自慢は豊富な地下水だ。住宅地の脇や寺社の境内など、あちこちからこんこんと湧き出てくる
▼自宅でも地下水をポンプでくみ上げて使っている。毎日飲んでいるので自分ではなかなか気付かないが、町外から訪れた人に口当たりがまろやかだと褒められる。その度にこの地域に暮らす幸せをかみしめる
▼美郷町は２００４年に千畑、六郷、仙南の旧３町村がまとまり、「平成の大合併」で県内の合併第１号となった。人口減少が進む中、交流人口の増加を図ろうと観光振興を柱にまちづくりに取り組んできた。長く住民に親しまれてきた地下水の活用は一例だ
▼地下水が湧き出る場所は町内１２０カ所以上に点在。その半数が六郷地域に集中している。いつでも水をくめるようにと蛇口などを取り付けた「取水スポット」も幾つかあり、人気がある
▼小山さんはその水を使ったコーヒーや抹茶を味わえる休憩施設「清水の館」を切り盛りする。昔から生活用水に使われ、今も住民が守り続けている歴史ある美郷の水の魅力を接客を通じてアピール。「ここの水が気に入ったと県外から何度も足を運ぶ人もいます」と手応えを口にする
▼営業期間は例年、４月から１１月末ごろまで。今年も開業時期が近づいてきたが、新型コロナウイルスの影響で、人の行き来自体が滞っているのが気掛かりだ。皆が安心して観光を楽しめる時が早く来ますようにと終息を願う日々である。
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March 22, 2020 at 07:30AM
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北斗星（３月２２日付） - 秋田魁新報
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