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TRF、浜崎あゆみ、倖田來未、AAA……エイベックス所属アーティストのライブの特色は? 映像無料公開を機に解説(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース

 新型コロナウィルス蔓延の防止対策として、日本政府は大規模イベントの自粛を各所に要請。これにより、あらゆるエンターテインメントやスポーツの公演が続々中止や延期となる非常事態に。もちろん、音楽業界も例に漏れず。様々なアーティストが無観客ライブや配信ライブを実施し、少しでもファンやリスナーの不安を取り除こうと日々奔走している。そんな中、日本を代表するポップスターを多数擁するエイベックスは、YouTube公式チャンネル「avexチャンネル」にて所属アーティストたちのライブ映像を期間限定で順次解放。TRF、globeといった小室ファミリーの伝説のコンサート、浜崎あゆみ、Do As Infinity、倖田來未、大塚愛などのエイベックスを代表する歌姫たちの熱演、AAA、EXILEなどのドーム級人気グループの迫力パフォーマンスを無料配信している。

 この貴重な機会にぜひとも素晴らしい名曲とパフォーマンスの数々を体感してもらいたく、いくつかのアーティストのライブの特色や見どころを紹介していきたい。まずはエイベックスの存在を世界中に知らしめた稀代の音楽プロデューサー、小室哲哉が1992年に結成及びメジャーデビューさせた小室ファミリーの代表格・TRF。言わずと知れた、J-POPシーンにダンスミュージック旋風を巻き起こしたアイコン的グループだが、約30年近くにわたるキャリアを誇りながら、いつまでもハイレベルのダンスパフォーマンスを繰り広げている超人ぶり。また、DJ KOOのメディア露出によって現代の若者にまで浸透している「EZ DO DANCE」をはじめ、ミリオンヒットナンバー「CRAZY GONNA CRAZY」「survival dAnce ~no no cry more~」「BOY MEETS GIRL」などなど色褪せない名曲たちのオンパレードと、それに対して飛び跳ねながら、大はしゃぎしながらシンガロングを響かせるオーディエンスの一体感には、何度観ても心も体も踊らずにはいられなくなる。まだクラブがディスコと呼ばれていた時代からのユーログルーヴを2020年現在まで絶やさなかったTRFの偉業、ぜひともライブ映像を通して実感してみてほしい。

 そんなTRFをはじめとする小室ファミリーがヒットチャートを席巻していた90年代、来るべき21世紀に向けて新たな時代を築き上げていくポップスターがデビューした。浜崎あゆみである。子供とも大人とも言えない、微妙な年代のリアルな心情を泣き叫ぶように歌う彼女の姿には、日本中の女子校生たちが強く共感し、そのカリスマ性は次第にあらゆる世代を振り向かせ、文字通りトップスターの座に君臨することになった。派手なビジュアルや言動も手伝って、今現在も賛否両論の的になりやすい浜崎あゆみだが、それも日本の音楽シーンの女王であるゆえ。そして、その席に座る者としての並々ならない覚悟は、常にステージの上で命懸けで体現されてきた。世界的ビッグアーティストであるマドンナやビヨンセのコンサートと比較しても引けを取らない、ド迫力の演出は幾度となくテレビメディアでも取り上げられてきたが、実のところ、浜崎あゆみのライブ最大の凄みは今も昔も歌にある。テクニックやパワーで歌を語るなら、正直に言って、彼女よりハイレベルの歌姫は存在する。しかし、歌に乗せる情念とも呼べるエモーションに限って言えば、観る者たちが涙を抑えきれないほど圧倒的。特に〈一人きりで生まれて 一人きりで生きて行く―――〉と歌い叫ぶ「A Song for ××」や「TO BE」をはじめとした、絶望や孤独、喪失感を表現したバラードにおけるソレは、いつの時代も彼女と同じように悩みながら苦しみながら、それでも日々を生きてきたファンたちの心を打ち続けている。

 小室ファミリーの代表格であった安室奈美恵、新時代のカリスマとなった浜崎あゆみ、さらには、持田香織擁するEvery Little Thing、伴都美子擁するDo As Infinity、現在のK-POPムーヴメントの始祖的存在であるBoAと、エイベックスはいつしかミリオン級女性アーティストを次々輩出していくことで有名なレコード会社となっていた。そんな錚々たる先輩やレーベルメイトの中で、なかなかブレイクすることが出来ず、何度も夢を諦めそうになりながらも何度も立ち上がり、デビューから約5年かけてJ-POPシーンの主役へと躍り出た、とある女の子のリアルシンデレラストーリーをご存知だろうか。その物語のヒロインの名は、倖田來未と云う。彼女はワンマンライブの最後に必ず「walk」というバラードを泣きながら熱唱する。〈歩き続ける/唄い続ける/辛い現実が/そこに待ってても/必ず行くよ―――〉 このフレーズに象徴されているのだが、倖田來未のライブは常に人生を感じさせる。自らもコントロールできないほどに感情が溢れ返る歌声も、どんな超テクニカルなプロダンサーたちと並んでも際立って情熱的に激しく暴れまわるダンスも、自他ともに認める高所恐怖症ながらも布一枚を体に巻き付けて宙を舞うエアリアルティシューも、アクロバティックな演出も、長くしゃべり過ぎちゃって毎回怒られているというMCも(笑)、すべての要素に人間味が溢れている。何があろうとステージに立ち続けてきた者の矜持、そして、ファンへの深い愛情を感じさせるのだ。エロかっこいいとの評判から大ブレイクを果たした存在ではあるが、倖田來未の真の魅力は表面にあらず。ぜひライブで彼女の人生に触れてもらいたい。

 他にもライブを観てもらいたいアーティストは多数いるのだが、文字数制限の都合上、最後にもう1組だけ。2020年12月31日をもって活動休止することになったAAAのライブについて記させてほしい。伊藤千晃の卒業、浦田直也の脱退などあり、今現在は、西島隆弘、宇野実彩子、日高光啓、與真司郎、末吉秀太の5人組となっているが、今回のエイベックスによるライブ映像無料解放の機会に最も感じ取ってもらいたいのは、AAAはいつの時代も、どの体制時も、どのメンバーも例外なくステージに対して真摯で在り続けたということ。そして、年々、各メンバーのスキル上昇に合わせてバラバラな個性の集合体となっていくのだが(個々のソロ活動も多くなっていくのだが)、ひとたび全員揃うとJ-POPシーン髄一のチームワークを発揮していたということ。言うならば、AAAのライブはいつでもキズナの物語であった。今のタイミングだからこそ、ひとりでも多くの人々にその真実を知ってもらえたらと思う。

平賀哲雄

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March 15, 2020 at 10:07AM
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