散ってしまった薄いピンク色の花びらが水面を覆い、いかだのように静かに流れる。「花筏（はないかだ）」。見頃を終え、サクラが散り始めた県内各地の水辺でも美しい光景が広がっているだろう
▼落語で「花筏」といえば相撲の話だ。看板大関の花筏が大病を患い地方巡業に出られず、興行主から前金を受け取ってしまった相撲部屋の親方が姿格好の似ている提灯（ちょうちん）職人に頼み込む。「誰も花筏の顔は知らない。紋付きはかま姿でどんと座っていてくれ」
▼素人力士でも日当をもらい、巡業先で好きな酒は飲み放題。取組は病気ということで避けていたが、千秋楽に血気盛んな若者に胸を貸さなければならなくなる。提灯職人だけに「はり手」で挑むが、相手も偉大な大関に恐れをなして―という滑稽話だ
▼大病を患う花筏ではないが、現実に大相撲力士の新型コロナウイルス感染が確認された。無観客で行われた３月春場所は感染者を出さずに乗り切り、５月の夏場所は２週間の延期が発表されているが、先行きは不透明だ
▼江戸時代と違い、偽物の力士で相撲の興行は成り立たない。オンラインの映像配信でスポーツや映画などいろいろと楽しめる時代となったが、落語や大相撲はやはり生で見たい。
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April 11, 2020 at 06:49AM
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【４月11日付編集日記】花筏：編集日記：福島民友新聞社 みんゆうNet - 福島民友
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