春を告げる野菜にフクタチがある。県南部で以前から親しまれ、「春一番の野菜」とも呼ばれる。白菜の種を秋にまき３月から４月にかけ収穫する。冬の寒さに耐えて甘さが増す。葉は丸まらず、別の野菜のようだ
▼出荷する羽後町のＪＡによると、収穫は最盛期を過ぎ、量は減ってきているという。早速スーパーに行くとあった。若竹色の葉が、ゆでて鮮やかな緑に変わるまで１０秒ほど。おひたしにして食べる。優しい甘さが口に広がった
▼家庭菜園に何を植えるか考える季節でもある。秋田市内のホームセンターには野菜苗が並び始めた。来月初めにかけトマト、ナスなどの定番を含めて出そろうとか。「最近は子供連れの若い夫婦の姿も目立つ」と担当者は話す
▼野菜作りの何が人を引き付けるのだろう。くわを振るって耕す。毎朝苗の育つ様子を見守る。種から育ててみる。肥料の使い方に工夫を凝らす。そんな試行錯誤の末やっと収穫できるからだろうか
▼「半農半Ｘ」という生き方がある。暮らしの中に「農」を取り入れ、それぞれが本業とする仕事「Ｘ」と両立させることを指す。半農とはいうものの、農業が生活の半分を占める必要はない、少しでも農があればいい。それが提唱者の考えだ
▼たとえ狭い菜園でも、見上げれば空は広い。朝の新鮮な空気を思い切り吸って、土と緑に触れる。心も体もほぐれていく。広いスペースがなければプランターでも野菜作りはできる。命を育む喜びがそこにはある。
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April 12, 2020 at 07:42AM
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北斗星（４月１２日付） - 秋田魁新報
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