健康な人が病人を世話するのは自然なことだが、古代ギリシャの都市アテネではそうもいかなくなった。正体不明の疫病がはびこり感染者の面倒をみて病気をうつされ死んでいくか、見放して自分が助かる道を選ぶかのどちらかだった
▼おびえる人々は結局、家に閉じこもり、親族や近隣の人との行き来も避けるようになったという。米国の科学記者ジーナ・コラータさんが「インフルエンザウイルスを追う」（ニュートンプレス刊）に書いている
▼病人を見捨てるなど現代ではあり得ない。医療の進んだ今日と同列に論じられないが、家にこもる当時の姿は新型コロナウイルスに振り回される今と重なる
▼同書によると人々は「人生も富もはかない」と思うようになり、アテネでは浪費や乱脈な暮らしが始まった。果ては無法がまかり通る街になった。終息が見えず自由に外出できないストレスからだったのか。現代に生きる私たちは感染症に心まで侵されないよう気を付けなければ
▼例年の今ごろなら県内は観桜会でにぎわい、近づく大型連休の予定を立てる時期。しかし人の集まりは感染拡大を招くと自粛を求められている。昨日、県は商業やレジャーなどに関わる業種に２５日から来月６日までの休業を要請した
▼外出自粛が感染を広げないための対策と分かっていても家でじっとしているだけではストレスがたまる。気晴らし、健康維持…。心がすさまないよう過ごし方を前向きに、じっくり考える連休前である。
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April 22, 2020 at 07:30AM
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北斗星（４月２２日付） - 秋田魁新報
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