【６月21日付編集日記】父の日のプレゼント - 福島民友

　離れていても心をつなぐのが今年の流儀だ。架空の空間をつくり出し、あたかもそこに実在するかのように人と人とを結び付ける工夫が、約３カ月遅れて開幕したプロ野球に投入された

　▼巨人戦のテレビ中継、東京ドームのバックネット裏には無観客試合なのに子どもたちや多くのファンの姿が。しかし笑顔のまま動かない。「おや？」とテレビ画面をのぞき込むとバーチャル観客の応援ではないか

　▼応募ファンの写真を大型ＬＥＤに映し込んだ映像は選手たちからも見えて熱い声援が伝わるような演出。ほかにもメッセージ入りユニホームを観客席に並べるなど、より近くで寄り添いたい人の心理をくみ取った

　▼一方で、近くにいればこそ直（じか）に顔を合わせて声を掛けてあげたい、選手の背中を押して送り出したいのが素直な人情だろう。小さい時からキャッチボールで心を通わせ、試合にも駆け付けてきた親ならなおさらだ

　▼夏の甲子園大会中止を受け県高野連が７月１８日から開く代替大会では、無観客試合でも保護者や部員が球場で応援できないか検討が続く。一緒に日に焼けながら同じ夢を追い掛けてきた家族が完全燃焼できれば、これほどのプレゼントはないと、「父の日」に思う。

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June 21, 2020 at 06:45AM
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