「首長は３日やるとやめられない」。もう１０年以上前、物言う首長として知られた人から聞いた言葉だ。「魅力はやりがいと権限。お金じゃないんだ」
▼９年前の春には気の毒な首長を何人も見た。沿岸部にはがれきの山。ガソリンなど物資の不足も深刻だった。非難の的となったのは各地のリーダー。少し姿が見えないと、「逃げたみたい」「家族だけ外国に行かせた」とうわさが広まった
▼本当のところ、彼らは役所の中で職員に指示を出し続けていた。非常時で手続きが後回しになることも。「問題になったら、首長のせいにしていいぞ」。そんな言葉で職員の背中を押す首長がいたのを覚えている
▼これは新しい政治様式とでも言うのだろうか。政府の閣僚や、各地の知事の記者会見の映像が頻繁にテレビから流れてくる。帰省は慎重に。飲食店は営業時間を短くして。新型コロナウイルスへの対応を巡って、矢継ぎ早に繰り出される言葉にはどこか高揚感が漂う
▼住民を守るのは自分との気概はいい。ただ、一部に注意を呼び掛けたという既成事実をつくるためのように聞こえる発言もあるのは残念だ。「結果がだめなら悪いのは自分」。責めを負う覚悟もリーダーの資質だろう。
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August 10, 2020 at 06:37AM
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【８月10日付編集日記】リーダーの資質 - 福島民友
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