巨人のミスを突く
やっと一矢報いた。だが、矢野監督は「まだ一矢報いただけ」と言った。そのコメントは正しい。3連勝を目論んで乗り込んだ東京ドームで巨人にマジックが点灯、負け越してゲーム差が「10.5」と広がっては、一矢報いた「だけ」である。 しかも、巨人は2試合続けて体調不良の坂本、岡本に休養を取らせた”飛車角抜き”の1軍半の打線。 阪神は9回二死満塁から途中出場の荒木が三塁ファウルフライに倒れたが、3番手、田中豊の球数が50球を超えようとしていたため、巨人のブルペンでは野手の増田大が準備をしていた。もし荒木がつないでいれば、8月6日の甲子園での巨人戦に続き、また「野手の敗戦処理登板」に話題を持っていかれるところだった。 それでも阪神には巨人に対抗できる戦力があり、”野球のやり方”次第では、ポテンシャルが残されていることは示す圧勝劇となった。 東京ドームでの鬱憤を晴らす猛攻は近本の一撃から始まった。15日に開幕11連勝の“無双”菅野智之に2打席連続アーチを浴びせた近本は、巨人の先発、サンチェスの初球の150キロのストレートが真ん中高めに甘く入ってくるのを見逃さなかった。ライトスタンドへ飛び込む先制アーチ。近本は、6回にも2番手の桜井から7号をソロを放ち、この巨人3連戦で4本塁打の大当たりである。 さらにサンチェスの制球が定まらない不安定な立ち上がりをつかまえ二死満塁から陽川が押し出し四球を選んだ。だが、続く木浪のセカンド、若林へのゴロで一塁走者の陽川が守備妨害を取られた。若林がうまくグラブを陽川の体に絡めた“技あり”の守備妨害である。阪神は、相変わらずの“際のプレー”の弱さを露呈して嫌なムードが漂ったが、二回にも二死から糸原、サンズ、大山の3連打で3点を加え、この日ばかりは流れを渡さなかった。
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