東京・山手線の駅名の順序に面白い覚え方がある。「腹空（す）く（原宿）、渋茶（渋谷）、ビール（恵比寿）、マグロ（目黒）、ご飯だ（五反田）、お酒（大崎）、品切れ（品川）」。鉄道紀行作家の故宮脇俊三さんは子どもの頃、こうして頭に入れたという
▼著書「時刻表昭和史」で紹介している。きょうは時刻表記念日。１８９４（明治２７）年１０月５日に日本初の本格的な時刻表が出版されたことにちなむ
▼昭和の初め、原宿と渋谷の中間付近で育った宮脇さんが、最初に親しんだ鉄道が山手線だった。渋谷駅前で亡き主人の帰りを待ち続けた秋田犬ハチの晩年の姿も見ている。ハチの姿を確認してから山手線に乗るのが小学生の時の楽しみだった
▼ひっきりなしに運行される山手線が、行き当たりばったりでなく、決められた時刻に従っていることを知り、時刻表に興味を抱くようになったという。駅名と数字、膨大な情報の奥に秩序立った世界が見えたのだろう
▼新型コロナウイルスの流行によって春先から旅行がままならなかった。いまは移動の自粛要請はなくなったが、感染防止に神経を使う旅を余儀なくされている。時刻表などを基に出演者が旅のプランのみを楽しむテレビ番組もあり、コロナの時代を反映している
▼品川の隣に今年開業した高輪ゲートウェイの語呂合わせを考えたが、長過ぎてなかなか思い浮かばない。奥羽線や羽越線の駅で考えてみようか。時刻表を片手に頭のトレーニングになりそうだ。
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October 05, 2020 at 07:32AM
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北斗星（１０月５日付） - 秋田魁新報
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