昨季まで阪神に在籍したロッテ鳥谷敬内野手(39)も藤川の引退試合に駆けつけた。甲子園の記者席で観戦。ラスト登板、セレモニーも見届け、「球児さんの偉大さを感じました。自分も近い将来、こういう日が来る。球児さんへの寂しさもあるし、自分と重ねながら思うこともあります。でも、球児さんがこういう形で終わることができて本当に良かった」と1学年上の先輩を思った。

前日9日夜に千葉でシーズン最終戦を終えたばかり。11日は再び千葉で練習に参加する。「見たかった。球児さんがいたから優勝できた。勝てた試合がたくさんあった。頑張った人への敬意として、最後の姿を見るのは大切なこと」。休日に長距離往復を強行してでも、背番号22の最後を目に焼きつけたかった。

2人は05年のリーグ制覇メンバー。投打の生え抜きスターとして長年チームを支え、12年には投手キャプテン、野手キャプテンとして苦楽をともにした。「人がどうこうじゃなく、自分のこだわりを貫いて…」。周囲に流されず練習を続ける姿を、尊敬していた。

「JFKにつなげば勝てる。野手として、そこにつなげば勝てるという思いを持って戦っていた。その期間はすごく思い出深い。球児さんの姿をずっと見てきたし、チームに与える影響を自分も感じてきた。そういう人が辞める。寂しい思いがあります」

引退発表直後には、2人にしか分からない感情をLINEで交わし合った。

「第2の人生の方が長い。阪神のためにも球界のためにも、球児さんという存在は代えがきかない。いろんな形でまた一緒に何かできたらいいなと思います」

自身は14日からCSソフトバンク戦を戦う。虎の背番号22への思いも胸に、戦場に戻る。【佐井陽介】