四十数年前、八郎湖に近い地域の小学校に通っていた。冬休み前の集会で、約束させられたことが二つある
▼一つは「残存湖（八郎湖）の氷の上に、子どもだけで行かない」。これは氷が割れたら危険だからだと、理由がすぐ分かる。もう一つは「ナマハゲの『餅担ぎ』をしない」。こちらは何のためなのか、地元以外の人には分かりづらいかもしれない
▼餅担ぎは、大みそかにある男鹿市伝統のナマハゲ行事で、大きな布袋を持って随行する役割を指す。かつて回る家々で切り餅が出されたことの名残でそう呼ばれている。今は布袋には寸志入りののし袋が納められる
▼学校で餅担ぎを禁じたのは行事が夜遅くに及ぶためだが、禁を破る児童もいた。ナマハゲが酒食のもてなしを受けている間、玄関先で待つ児童もお菓子などをもらう。そうしたことは楽しみだったに違いない。地域の民俗行事に参加することを誇る気持ちもあっただろう
▼男鹿市で昨年、ナマハゲ行事の実施町内が全１４８のうち９２と６割に回復した。長らく５割台にとどまっていたものの、実施町内に市が２０１２年から交付金を支給していることや国連教育科学文化機関（ユネスコ）の無形文化遺産に登録されたことが後押ししたようだ
▼一方、ナマハゲを家の中に迎え入れる世帯が減った町内もあると聞く。お膳などの準備が手間であることは確かだが、貴重な民俗行事だ。関心が高まり、参加世帯が少しずつでも増えていくことを期待したい。
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December 31, 2019 at 07:46AM
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北斗星（１２月３１日付） - 秋田魁新報
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