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北斗星(1月13日付) - 秋田魁新報

 寅さんが22年ぶりにスクリーンに帰ってきた。第1作から50年、第50作となる「男はつらいよ お帰り 寅さん」が公開中である。山田洋次監督は「先行き不透明で重く停滞した気分のこの国に生きるぼくたちは、もう一度寅さんに会いたいと願って製作することを決意した」とパンフレットにつづっている

▼寅さんのおい満男を軸にした現在の物語であるが、やはり主役は回想シーンなどに登場する寅さんである。破天荒で自由奔放な一方で、他人を思いやる気持ちは人一倍。その一挙手一投足にファンは魅了されてきた

▼故郷、家族がシリーズを通しての変わらないテーマ。長くお盆と年末年始に公開されてきたが、映画を見て里心がつき、帰省する人も多かった。新作では老いや介護といった問題も取り上げている

▼シリーズは寅さんが全国を旅するロードムービーでもある。本県は第35作「寅次郎恋愛塾」で鹿角市が物語の舞台の一つとなった。第38作「知床慕情」のオープニング場面には仙北市の桧木内川堤の桜並木が登場した

▼秋田市の映画館では中高年の姿が目立った。ハンカチをそっと目に当てる人もいた。寅さんとともに生きてきた時代を懐かしんでいたのであろう

▼満男が「人間は、何のために生きてんのかな」と尋ねると、寅さんはこう答える。「生まれて来てよかったなって思うことが何べんかあるじゃない。そのために人間生きてんじゃないのか」。寅さんから教えられることはまだまだある。

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January 13, 2020 at 07:00AM
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