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北斗星(1月19日付) - 秋田魁新報

 「滞りなく終えられて、すっきりした気持ちです」。横手市山内南郷の水谷喜代子さん(67)が笑顔で振り返る

▼地域に古くから伝わる百万遍念仏講のことだ。住民が長老役を囲み、輪になって数珠を回しながら「南無阿弥陀仏」と念仏を唱える。数珠1周を1万回と見なし、100周させることから百万遍。今年も先週、約20人で行った

▼水谷さんは40年以上前に同市大雄から嫁いだ。当初は寒い冬の朝に、なぜわざわざ外に出て念仏を唱えるのかとけげんに思っていた。だが20年ほど前に義母に代わって初参加し、以後毎年出るうちに欠かせない行事だと思うようになった。住民が無事を確かめ合う大切な機会になっていることに気付かされたのだ

▼疫病が入り込むのを防ぐため、3カ所で念仏を繰り返す。吹雪に見舞われる年もあるが、中止したりしない。開始時間に合わせて家々から女性たちが一人二人と集まり、そろったところで和気あいあいと始まる

▼単調な日常の中で「ああ、生きてきた」と実感するために楽しい目標が必要だった。それが年中行事。民俗学者の柳田国男は著書にそんなことをつづっている。念仏講や、これから県内各地で盛んになる小正月行事は住民にとって重要な節目。過去を振り返りつつ、この一年の健康や幸せを願う

▼「今年は参加した地域の皆さんが、そろって笑顔でした。それが何よりうれしいこと」と水谷さん。地元愛にあふれた住民一人一人の思いが年中行事を支えている。

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January 19, 2020 at 07:36AM
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