GLIM SPANKY、MOROHA、BRAHMAN(リズム隊)、熊木杏里など、数多くの個性派アーティストを輩出してきた長野県。中でも最近、にわかに注目を集めているのが長野県伊那市の音楽シーンだ。
その理由はNHK紅白歌合戦に初出場を果たし、今年の2月に『情熱大陸』にも出演するほど大ブレイクしたKing Gnuのツインボーカルを務める井口理と常田大希が伊那市出身であること。そして平均年齢20才の5ピースバンド、FAITHが英語詞ながらキャッチーで冴えたセンスの音楽性で期待のニューカマーとしてメジャーデビューを飾ったことが大きい。
そういった注目を集めるアーティストが多数輩出される秘密とは何なのか?伊那市には何があるのか? その事情を地元ライブハウスや放送局、そしてCDショップなどの関係者の証言をもとにひも解いてみる。
「それぞれの街で地道に音楽の場づくりをされてきたライブハウスや箱関係者の努力の賜物。ジャンル問わず多様で良質な音楽に触れられる環境を作ってきたGRAMHOUSE(グラムハウス)やモメンタム(イベントスペース)を有する伊那は特にシーンが育まれてきたと感じています」(FM長野/小林氏)
「ライブハウスのGRAMHOUSEが地元に根付いています。モメンタムなどの良質なBarもあり、音楽やファッションに意識が高いように感じます。イベントに対する熱とフットワークの軽さがあります」(平安堂伊那店/鮎澤氏)
地元のラジオ局やCDショップで音楽に携わる人たちの発言からもアーティストが育つ土壌があることが伝わってくる。伊那市の老舗ライブハウスとして必ず名前があがるのが2016年末にリニューアルしたGRAMHOUSEだ。
▲GRAMHOUSE
「ずいぶん昔から小規模ながらもライブハウスやライブバー、レコーディングスタジオがあって絶えることなく音楽が鳴り続けてきた街」と形容するのは店長の大澤氏。King Gnuの常田や井口も出演していたライブハウスでもあり、FAITHとの付き合いも長い。
「常田君は2~3回しか出演してもらったことがないので、それほどたくさん話しをしたことはないのですが同世代とは違う世界を見ている印象でした。井口君は今でも年に1~2回は一緒に飲みます。テレビやラジオで観られる彼の印象そのままです。歌は昔から上手でした。FAITHに出会った時はまだ中学生。高校生からバンドを始める子達が多い中で、中学生から始めたらどんなバンドに成長していくのか楽しみだなと思ったのは覚えています。とにかく音楽が好きで毎週末、ここで色々なバンドのライブを見ていました」と振り返る。
偶然とは言え、ドラマの主題歌となり大ヒットを記録した「白日」や映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』主題歌に起用された「どろん」を含むKing Gnuの3rdアルバム『CEREMONY』と全国のFM/AMラジオ、CSを含むTV局で70を超える前代未聞の数の邦楽枠パワープレイ/ヘビーローテーションを全編英語詞で獲得したFAITHのメジャー1stフルアルバム『Capture it』が同じ日(2020年1月15日)にリリースされたことも地元界隈のCDショップの高いセールスに繋がったようだ。
「同じ発売日、同じ伊那ということで、入店口にお隣同士で“伊那って凄イナ”展開を実施しました。ご来店くださった際に、隣の展開を見て併せて買ってくださるお客様もいました。もちろん“伊那市出身”のキャッチだけでは買っていただけないと思いますので、両者共に音がとってもかっこいいことが併売につながったと思います」(タワーレコード上田店/油座氏)
「どちらも発売直後からとても反応が良く、半月経った今も毎日売れ続けています。発売日当日は、ディスプレイが出来上がらないうちからフェア台の写真を撮られるお客様が多数。若い方はもちろんですが、年配の方がお連れの方に両バンドの解説をされている姿も見られ、幅広い層からの関心の高さを感じました。週末は混雑し平日でも複数の方がフェア台の周りにいらっしゃり、今までにない盛り上がりです。CDと併売した雑誌(掲載誌)も通常の7倍売れています」(平安堂伊那店/鮎澤氏)
トップ写真にあるように、伊那市役所内には、「いま、伊那市出身アーティストがアツイ!」と題されたパネルが掲示されており、伊那市全体としてアーティストをサポートし盛り上げていこうという空気が充満している。
地元出身のアーティストが羽ばたいていったことで刺激を受けたバンドやユニット、ソロシンガーが登場し、シーンが活性化することは十分ありえる。ここでは国民的バンドに成長したKing Gnuと期待の新星FAITHをピックアップしたが、両バンドともに洋楽と邦楽のエッセンスを混ぜ合わせたハイブリッドで自由な音楽を奏でていることが、音楽が生活に溶け込んでいる街の空気感とシンクロしていることを伺わせてくれる。近い将来、“伊那フェス”が誕生、なんてことも夢ではないのかもしれない。
ライブ・イベント情報
<WONDER WANDER>
3/8(日) グラムハウス1F&2F&momentomの3会場でサーキットイベント開催
出演アーティスト全22組予定。すべて長野県在住・出身、長野県出身を擁するバンドです。
※King GnuとFAITHの出演はありません
【ACT】
BRASH GENE / CASANOVA FISH / hearleaf / Jacob Jr. / KAWAI JAZZ / kOTOnoha / Lampshade / MAS(NOTHING TO DECLARE) / The Rainy Pablo / sabunyuma / Swell / TERRY / 伊東潤 / 板垣徳仁 / カンガモン / コタニサキコ / 太陽 / タメノチカラ / まじ子 / 松崎翔太 / 宮川みゆき
【DJ】
オリハシエイイチ / モモやん
【FOOD出店】
アドゥマン / おかもと / cafe dudu
【HP】
https://ift.tt/2TDHEa3
●FM長野 イベント情報
<EVERGREEN CAMP FM NAGANO SPECIAL LIVE Vol.1>
地元出身アーティストを迎えたFM-NAGANO主催のライブイベント開催
2020年4月19日(日) 開場15:30/開演16:00
出演:FAITH、ヒグチアイ、CASANOVA FISH
会場:松本市MOLE HALL
料金:前売り/2,500円 当日券/3,000円 ※オールスタンディング
【HP】
https://ift.tt/2VHvaki
"アーティスト" - Google ニュース
March 05, 2020 at 04:00PM
https://ift.tt/3as2FLn
注目アーティスト輩出の源 長野県伊那市の音楽事情がいま熱い - BARKS
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