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北斗星(11月30日付) - 秋田魁新報

 野生動物と人間がせめぎ合う。舞台は北海道の開拓地、物語は大正期の実話に基づく。人間を追い詰めるのは巨大ヒグマだ。「袈裟掛(けさが)け」と呼ばれ恐れられていた。胸元の白い毛が袈裟のように見えるからだ

▼物語は「羆風(ひぐまかぜ)」、先日亡くなった横手市出身の漫画家矢口高雄さんの作品だ。山が不作で飢えた袈裟掛けは冬眠できない。そこで民家に狙いをつけた。「もっと喰(く)わなければならない」―腹を満たそうと暴れるヒグマ、銃で挑む決死隊。細密な描写と巧みなこま割りが緊張感を高め、最後は人間が勝利する

▼獣たちと人間のせめぎ合いは現代で日常と化している。ツキノワグマ出没警報を県は年末まで延長。冬眠前まで食べ物を求めて人里に出てくる恐れがあると警鐘を鳴らす。問題はクマに尽きない。県内のイノシシ目撃頭数は最多となり、農作物被害も相次ぐ

▼獣害は江戸時代に各地であった。例えば対馬藩はイノシシ8万頭以上を全島挙げて駆除。だが明治以降の約100年は新型銃の普及や毛皮需要の高まり、森林伐採による生息環境悪化などで被害が全国で減った

▼人間の努力にさまざまな要因が絡み、獣を遠ざけていた。その列島は再び獣害に見舞われている。荒れた里山や休耕地などが餌場になっているという(田中淳夫著「獣害列島」)

▼双方の不幸な衝突をなくすには、どうしたらいいのか。駆除だけに頼らない方法もあるに違いない。確かなことは知恵を絞るべきは人間の側だということだ。

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November 30, 2020 at 07:31AM
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