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【1月21日付社説】施政方針演説/現状見据え実行力発揮せよ - 福島民友

 通常国会が召集され、安倍晋三首相が施政方針演説を行った。「令和の新しい時代を、共に切り拓(ひら)いていこう」。国民に向けた言葉が空疎な呼び掛けとならないよう、政策の実現に指導力を発揮してもらいたい。

 安倍首相は演説で、子どもから高齢者まで全ての世代が安心できる「全世代型社会保障制度」の構築へ決意を示した。2022年からは団塊の世代が75歳以上になる。全世代型社会保障はまさに「待ったなし」と言える。

 高齢化の進行で、50年には65歳以上の高齢者1人を20~64歳の世代1・2人で支える「肩車型社会」を迎える。一定以上の所得がある75歳以上の医療費自己負担を2割とし、厚生年金の適用拡大などを進めると言及したが、具体的な財源については踏み込み不足の感は否めない。

 社会保障の負担増を次の世代に先送りすることがあってはならない。幅広い世代で負担を分かち合っていくために、制度を早急にまとめることが重要だ。

 首相主催の「桜を見る会」を巡っては、ずさんな公文書管理が発覚した。統合型リゾート施設(IR)事業に絡む汚職事件では、元内閣府副大臣が逮捕された。公選法違反疑惑では2閣僚が相次いで辞任した。これらの問題についての釈明はなかった。

 施政方針演説は政権の基本姿勢を示すものだ。政治への信頼が揺らぐ中、説明責任や自らの任命責任に言及すべきだったろう。

 演説では、東京五輪・パラリンピック成功へ強い意欲を示した。「力強く復興しつつある被災地の姿を、その目で見て、実感していただきたい」。3月にJヴィレッジ(楢葉町、広野町)をスタートする聖火リレー、JR常磐線の全線再開通などに触れ、「復興五輪」の理念を強調した。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から、まもなく10年目となる。その節目に、双葉、大熊、富岡の3町の帰還困難区域の一部で避難指示が解除される。一方で、福島第1原発の廃炉やトリチウムを含む処理水の処分問題など解決しなければならない問題が山積する。地域コミュニティーの再生など複雑化する課題もある。

 国の復興・創生期間は最終年度に入る。安倍首相は、「政治の責任とリーダーシップの下で、福島の本格的な復興・再生、東北復興の総仕上げに全力で取り組む」と次のステージを見据え明言した。復興の加速化に向け、本県の実情を丁寧に把握し政策に反映させることが大切だ。

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January 21, 2020 at 06:11AM
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