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【7月19日付社説】学生のLGBT/多様な性を認める第一歩に - 福島民友

 福島大が性的少数者(LGBT)など多様な性の在り方を尊重するための基本理念と対応指針を初めてまとめた。

 LGBTは、女性の同性愛者を指す「レズビアン(L)」、男性の同性愛者の「ゲイ(G)」、両性愛者の「バイセクシュアル(B)」、身体の性と自己認識としての性が一致しないことやその人を指す「トランスジェンダー(T)」の頭文字をまとめた総称だ。

 県の昨年の調査によると、20代以上の5.5%が「性的指向に悩んだ経験がある」と回答した。決して低い数字ではない。

 男性は「くん」、女性には「さん」付けの呼び方をはじめとする、性別は男女しかないという認識はLGBTにさまざまな苦痛を与えている。人には男女に限らず、多様な性があることを認めて、誰でも快適に暮らせるようにしていくことが大切だ。

 福島大によると、生活実態調査で自身の性別に「男」「女」ではなく「その他」を選んだ学生が一定程度いることを受け、基本理念などの策定に着手した。理念には、差別しないことや自分で選んだ性の尊重などを盛り込んだ。

 同大は基本理念に基づき、学内で戸籍と違う通称使用を認めたほか、性別などにかかわらず利用できるトイレを18カ所設けた。LGBTへの配慮を明確に定めている大学は全国でも少ない。同大の取り組みは他大学のモデルケースにもなり得るもので評価できる。

 自認する性が周囲に公になることや卒業後の進路など、LGBTが抱える悩みや不安は多岐にわたる。福島大は個別相談などによる学生の悩みの把握や、学生への啓発を進めてほしい。

 基本理念と指針の策定に関わった前川直哉特任准教授(社会学)は、茨城県が設けた男女以外の組み合わせの2人が継続的に協力して生活していく宣誓を受け付ける制度などを挙げ、本県はLGBTへの対応が進んでいないと指摘する。その上で「原発事故で差別に苦しんだ福島県こそ、多様性を認める県であってほしい」と話す。

 県はふくしま男女共同参画プランでLGBTに触れ、「性自認や性的指向にかかわらず人格と個性が尊重され、共生できる社会の実現」を目指すとした。しかし、対策は教育、啓発が中心で、LGBTの人に配慮した制度の検討などは進んでいるとは言い難い。

 学生に限らず、自身の性に悩みを抱える人は地域社会の中で暮らしている。行政には、LGBTであることで不利益を被ることのない社会づくりを求めたい。

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July 19, 2020 at 06:44AM
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