ことしは梅雨明け宣言がなかった。梅雨と夏の境目がはっきりしなかったせいか、夏らしい夏を感じることが少ない気がする。夏はどこにあるのだろう。そう思って秋田市仁別に行ってみた
▼立ち木を見上げると、細い枝にセミの抜け殻がある。数えたら１３匹分だった。周りの木々からセミの声が盛んに響く。鳥の鳴き声も交じる。照りつける日差しの下、命を燃やすような合唱だ
▼さらに太平山登山道入り口へと足を延ばした。途中、うっそうと茂る緑が道路の上に張り出している。夏の盛りという風情だ。登山道を少し登る。小さな滝があった。白い糸を引いてザーッと流れる水の音、うるさいほどのセミの声。ここにも自然の合唱がある
▼夏を見つけた。そう思って暦を見てみると、立秋は過ぎ今日は「処暑」。暑さが峠を越える頃だ。朝晩涼しさを感じる日が多くなるという。確かに夜風が涼しくなってきた。稲の穂も色づいている。過ぎ行く夏と秋の訪れが出合う季節なのか
▼梅雨の話に戻ると、先月は長梅雨のため全国で記録的な日照不足となった。その後の猛暑もあってレタスなど葉物が高値らしい。市内のスーパーの話でも、レタスは税抜きで１玉約２００～２５０円と高めだ
▼ことしはやはり、いつもと違う夏なのだろう。子供たちの夏休みは短くなり、県外に遠出して思い出をつくるのも難しかったに違いない。でも身近なところにも「夏」はある。もう一つ、思い出を増やす時間がまだ残っている。
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August 23, 2020 at 07:08AM
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北斗星（８月２３日付） - 秋田魁新報
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