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【12月3日付社説】外国人向けツアー/根強い風評をなくす契機に - 福島民友

 県観光物産交流協会が、本県の復興の歩みを発信する「ホープツ
ーリズム」の取り組みの一環として、訪日外国人旅行者を対象にしたツアーの企画、運営を強化することを決めた。

 ホープツーリズムは、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に取り組む県民との触れ合いなどを通じて、震災や原発事故の教訓について学んでもらう旅行だ。本県独自の取り組みとして同協会が2016年度から実施しており、初年度の参加者は66人だったが、17年度は644人、18年度は1209人に増えている。

 しかし、参加者の多くは教育旅行などで訪れた国内旅行者で、外国人が占める割合は1割を切っているのが現状だ。同協会は今回、海外とのネットワークが豊富な広告大手・博報堂と連携し、海外の旅行会社などに集中的な情報発信を展開する。ツアーにより多くの外国人旅行者に復興の現状を知ってもらうことで、国際的な風評払(ふっ)拭(しょく)につなげていく契機にしたい。

 外国人旅行者向けのツアーは、日帰りと1泊2日の2種類が主力となる。それぞれ、復興に取り組む地元関係者と通訳が車に同乗し、県環境創造センター交流棟「コミュタン福島」(三春町)や浜通りの復興の現場を巡る内容とする。個人で訪れた観光者にも対応できるよう準備している。初回のツアーは今月9日に予定されている。

 同協会によれば、来年3月までは、これまでホープツーリズムを受け入れた実績がある施設などを結んだ一つのコースで実施するが、来春以降は複数のコースを設けて受け入れることを計画している。農林水産物の安全確保など、本県が努力してきた取り組みを深く学ぶことができる多彩なプログラムを準備し、着実な誘客増に結び付けていくことが求められる。

 ただ、今年9月に同協会が初めて受け入れた海外からのツアーでは、参加者から「福島に行くことを決めてから、家族や友人に大丈夫なのかと言われた」との声があったという。

 海外では原発事故が発生した直後の本県のイメージが強く、放射線に関する誤った認識が抜けきっていない。誘客の際には、現在の空間放射線量を丁寧に説明することなどを心掛けてもらいたい。

 来年は東京五輪の観戦に訪れる外国人旅行者の増加が期待される。ホープツーリズムの振興を通じて、首都圏や野球・ソフトボール競技が行われる福島市から浜通りの被災地に向かう人の流れをつくり、「復興五輪」としての価値を高めていくことが重要だ。

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December 03, 2019 at 06:46AM
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