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【1月15日付社説】「禁煙条例」前倒し/健康被害を防ぐ機運高めよ - 福島民友

 受動喫煙の防止に向けて福島市は、市独自の「受動喫煙防止条例」(仮称)を7月1日に施行する方針を固めた。たばこを吸わない人の健康にも悪影響を与える路上喫煙を根絶するきっかけにしたい。

 市によると、県内で受動喫煙の防止を目的とした「禁煙条例」の制定は田村市に次いで2例目だ。

 田村市は喫煙を禁じる場所を縁石などで区切られた歩道に限ったが、福島市は福島駅東口と国道13号の間の商業施設や飲食店が密集する区域と、同駅西口の広場の範囲の歩道や車道を重点区域に指定し、禁煙とする。それぞれ喫煙所を1カ所設ける。

 施行は当初、来年1月の予定だったが、同市で7月に野球・ソフトボール競技の一部が行われる東京五輪が「たばこのない五輪」を掲げていることなどを受け、前倒しを決めた。市は五輪と施行のタイミングを合わせることで、市民の関心が集まり、受動喫煙防止の機運が高まると期待している。

 五輪では観戦を含めた多くの観光客が同市を訪れるとみられる。施行前倒しは訪れた人々に快適な旅を提供する上で妥当な判断だ。

 条例案は6月の市議会に提出される見通しで、可決されれば、駆け足の施行となる。市は広報誌などを通じて周知を図り、観光客に対してもインターネットを通じて広報するとしている。

 条例施行後は、重点区域で指定の場所を除き喫煙できなくなる。周知が進まなければ、ポイ捨てなどで景観の悪化も心配される。市は条例の目的や喫煙場所について丁寧に説明し、市民や観光客の協力が得られるようにしてほしい。

 条例案では、重点区域に配置される指導員による喫煙の中止命令に従わない場合、過料2千円を科す予定だ。路上喫煙に対する過料は、千代田区などが早くから行っている取り組みで、県内では初めてとなる。7月の施行当初は周知期間として過料は科さない。

 過料の目的は、条例に実効性を持たせ、たばこの害を多くの市民に認識してもらうことにある。喫煙は喉頭がんや肺がん、動脈硬化などの原因となる。受動喫煙も肺がんなどのリスクが高まるとされている。「重点区域だから喫煙してはいけない」というだけではなく、たばこのリスクに目を向ける機会にしなければならない。

 昨年施行された改正健康増進法は学校、病院や行政機関などの敷地内禁煙を義務付けている。4月からは飲食店や職場などが原則禁煙となる。改正法の趣旨に則し、受動喫煙せずに済む環境づくりを進めていくことが大切だ。

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January 15, 2020 at 07:22AM
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