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【11月30日付社説】イノベ構想の周知/目指す未来像の共有進めよ - 福島民友

 浜通りに新産業を集積する福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の県民への周知が進んでいない。県政世論調査で、同構想の名前や内容をよく知らないとの回答が8割を超えた。

 県や構想を具体化する実務を担う福島イノベーション・コースト構想推進機構は、認知度が低い理由として、これまでは施設などハードの整備の取り組みが中心だったことを挙げる。今後は企業の活動の本格化などで認知度が高まっていくと期待している。

 しかし、構想が多くの人の関心を得られていない最大の理由は、構想の進展により対象の区域がどう変わっていくのかが伝わっていないことにあるのではないか。

 同構想は、原発の廃炉や、ロボットなど各産業の研究者や技術者、企業を集め、新しい産業や技術、人の流れを生み出すことが狙いだ。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた地域の復興を進める原動力となることが期待されている。

 国や県、同機構は、構想の目的や現状に加え、目指す未来像を分かりやすく示してほしい。

 福島ロボットテストフィールド(南相馬市、浪江町)など、構想の拠点施設の整備が進んでいる。災害で遮断された道路を再現した施設を備えた同フィールドを含む区域では、200件超のロボットの実証実験が決まっている。

 今後は研究開発に適した環境の整備をいかに研究機関、企業の誘致に結びつけていくのかがポイントとなる。国や県などは、視察や説明会を通じ、施設や研究開発を支援する制度について丁寧に説明し、関心を掘り起こしてほしい。

 構想の対象地域に立地する企業では、心拍数など健康状態を把握できる衣服端末の開発や、小型無人機(ドローン)を使った気象観測など先進的な取り組みが始まっている。こうした事例を、構想を知ってもらうための材料として生かしていくことも大切だ。

 地元の企業が新たな分野や土地での活動にチャレンジできるように後押しすることが構想実現の加速につながる。国、県などが誘致企業と、地元企業をマッチングしたり、誘致企業に地元からの資材調達を促すなどの働き掛けを進めることが不可欠だ。

 地元人材の確保は構想の成否を握る鍵だ。県内の高校では、就職希望者の2割、大学進学者の8割が県外に出る。現地視察などを通じて高校生に構想の狙い、地元企業の魅力を伝えていくことでUターンを選択肢に入れるよう促していくことが重要だ。

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November 30, 2019 at 06:03AM
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